商船三井ケニア社
2025年10月21日

ケニアに咲く薄紫の花 ― ジャカランダの魅力

     今の時期、ナイロビをはじめとするケニアの街を歩いていると、ふと目に飛び込んでくるのが、薄紫色の花を咲かせるジャカランダの木です。その幻想的な色合いは、青空とのコントラストも美しく、まるで絵画のような風景を作り出します。街路樹として並ぶ場所では、一面が紫色に染まり、足元には花びらのじゅうたんが広がって、まるで夢の中にいるような気分になります。

ナイロビの住宅街の通りに並ぶジャカランダの木々が満開になり、青空に映える薄紫色の花を咲かせている。
咲く時期と育つ気候

ジャカランダの花は、ケニアでは毎年10月下旬から11月にかけて一斉に咲き始めます。ちょうど短い雨季の始まりを告げるように、乾いた空気と強い日差しのもとで、紫色の花が鮮やかに映えます。ジャカランダは暖かくて水はけのよい土地を好み、ナイロビ、ナクル、エルドレットなどの都市部でよく育っています。

ナイロビの駐車場一面に散ったジャカランダの花びらが紫のじゅうたんのように広がり、街に彩りと静けさを添えている。
原産地と世界への広がり

ジャカランダはケニア原産ではなく、南米のブラジルやアルゼンチンがふるさとです。そこから世界中に広まり、現在では南アフリカ、オーストラリア、アメリカ南部などでも美しい紫の花を咲かせています。特に南アフリカのプレトリアは「ジャカランダ・シティ」と呼ばれるほど、街全体がジャカランダで彩られることで知られています。

名前の由来

「ジャカランダ」という名前は、南米の先住民族グアラニー語に由来するとされ、「香り高い」「強い香りをもつ」といった意味があるとも言われています。ただし、正確な語源には諸説あり、はっきりとはしていません。それでも、その響きの美しさと花の姿が相まって、世界中で親しまれている名前です。

ナイロビ中心部の建物や車に囲まれた場所で、鮮やかな薄紫色の花を咲かせた大きなジャカランダの木が存在感を放っている。
日本の桜との共通点

日本人にとっての桜のように、ケニアのジャカランダも季節の移り変わりを告げる花です。桜が春の訪れを知らせるように、ジャカランダは雨季の始まりを彩り、人々の暮らしにちょっとした喜びや感動をもたらしてくれます。ケニアの人々にとってジャカランダは、季節の節目を知らせる風物詩であり、街に彩りを添える大切な存在です。特にナイロビでは、ジャカランダの花が咲くと「もうすぐ雨季が来るな」と感じる人も多いようです。
桜が人々の心を和ませるように、ジャカランダもまた、ケニアの街に優しい彩りを添え、人々の暮らしにそっと寄り添っています。

思い出の花

ある日本人の駐在員の友人が「来年もジャカランダが見れるかなぁ」と言っていたのを思い出します。その方はその後帰国されましたが、美しい薄紫のジャカランダは、ケニアでの生活を鮮やかに彩る、思い出深い花として心に残っています。

ケニアのジャカランダの花に着想を得た薄紫色の扉が特徴的な、MOLロジスティクス・ナイロビ倉庫。自然と産業の調和を象徴している。
おまけ

実は、MOLグループで運営しているナイロビ倉庫の扉の色はこのジャカランダにちなんで薄紫色にしています(笑)。


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