私はヨハネスブルグ北部にある「ステイン・シティ」というコミュニティのアパートに住んでいます。このエステートは広大な敷地に広がっており、湖やゴルフコース、緑の小道が整備されていて、人々は毎朝ジョギングやサイクリングを楽しんでいます。まるで別世界のようで、穏やかで秩序があり、アフリカの大都市にありがちな混沌とはかけ離れています。
ここでは、南アフリカの公共サービスが滞っても生活は続きます。各家庭や施設には自家発電機と大型の貯水タンクが備えられており、電気や水の供給が途切れることはありません。インターネット接続も高速かつ安定していて、エステート全体が独自のインフラとサービスを持つ、ほぼ自給自足の都市のように機能しています。
しかし、一歩ゲートの外に出ると現実が変わります。穴だらけの道路、壊れた信号機、交差点で仕事を求める若者たち——ステイン・シティが、いまだ格差に苦しむ国の中で“特権の島”として存在していることを思い知らされます。それは未来の一端であると同時に、南アフリカが乗り越えなければならない分断の象徴でもあります。
それでも、ここには確かな前進の気配があります。ランドは緩やかに回復し、インフレは安定し、政府は再び再生可能エネルギーやインフラへの投資を始めました。世界銀行の支援により、港湾、鉄道、電力網の近代化が進められています。これらの取り組みはゆっくりではありますが、国が基盤を立て直そうとしていることを示しています。
庭師や清掃スタッフと話すと、彼らはよく「ここはいいですよ——安全で安定しています」と言います。その言葉には静かな希望が込められています。彼らにとってステイン・シティは単なる職場ではなく、南アフリカがいつか目指すべき姿——安定と機会が共存する場所——を象徴しているのです。
夜明けのラグーンのほとりに立つと、この国の約束と脆さの両方を感じます。希望と困難、進歩と不確実性の間で、南アフリカは前へと進み続けています。ここで暮らすことは、快適さの中にあっても、国全体がより良い未来を目指して努力している姿を目の当たりにすることなのです。