商船三井トルコ社
2025年11月5日

トルコ企業とのパートナーシップによるアフリカでの事業拡大

     10月イスタンブルにて、日本とトルコの経済団体である経団連とDEIKが主催する第28回日本トルコ合同経済委員会が開催された。 MOLからは、社長の橋本が参加し、「第三国市場におけるトルコとの共同事業」というテーマで、MOLとトルコのKaradenizとのJVで行っているアフリカでの発電船事業を紹介した。 同JVでは、現在、セネガルとモザンビークで発電船事業を行っている。

モザンビーク・ナカラで稼働するKaradeniz社の発電船「Mehmet Bey」の写真。左側のテキストには、2016年からの運用、LNGへの移行、CSR活動、発電実績などのプロジェクト概要が記載されている。
セネガル・ダカール港周辺の地図で、FSRUと発電船施設を結ぶガスパイプラインのルートを示している。プロジェクトの迅速な展開、LNGへの移行、信頼性の高い電力供給を実現するデュアル燃料運転について説明されている。

Karadenizは、約40隻の発電船を保有する世界で唯一の民間発電船事業会社である。 MOLは、発電船の共同保有と、ガスを燃料とするプロジェクトでの燃料供給ラインとなるFSRU (Floating Storage and Regasification Unit) の操業をJVで担当している。

Karadenizの強みの一つは、すぐに稼働できる発電船が複数隻、常に待機していることにある。 世界で、電気が不足する国は多いが、陸上で新たな発電所を建設するには、巨額の資本と合わせて、長期の調査、準備、建設の期間を要する。しかし、待機中の発電船を活用すれば、最短3ケ月で電気の供給が可能である。顧客は、電気料金を払うスキームなので、巨額の初期投資は必要ない。すぐに電気が必要な地域には、もってこいの解決策である。

また、MOLとKaradenizが共同でMarketingを行っているFDC(Floating Data Center)事業も紹介した。世界各国で、Data Centerの需要が増加する中、陸上のデータセンターと比較して、立地の確保、冷却水の確保、初期投資額の低減などで、FDCはメリットがある。また、陸上からの電源の確保が難しい場合には、発電船とセットでFDCを稼働させることができる。

MOLの「発電船を活用した浮体式データセンター」ソリューションを示す図。右側には都市のスカイライン近くに停泊するMOL船とKaradenizの発電船、左側には「コスト効率」「時間短縮」「プラグ&プレイモデル」「柔軟性と拡張性」の4つの利点が示されている。

FDC事業におけるMOLの強みは、FDCに改造する老齢船の調達が容易であること。 大型FDCに最も適しているのは、船内に複層の甲板を持つ、自動車専用船。データサーバーを設置する広く、耐久性のある床面積が改造前から存在している。自動車専用船を運航する船会社は多くなく、MOLは世界有数の自動車船船隊数を誇り、定期的に引退する自動車船が出てくる。老齢船をスクラップにするより、FDCに改造して、第2の人生を歩むのは、経済的であり、かつ地球環境にも優しい。 FDCの技術的問題は、ほぼ解決している。あとは、顧客の確保と設置する港などの許認可を得るハードルを越えれば、実現は近い。

イスタンブルで開催された第28回日本トルコ合同経済委員会のパネルディスカッションの様子。日本とトルコの代表者が登壇し、背景スクリーンには日本とトルコの国旗が表示されている。MOLの橋本社長も「第三国市場でのパートナーシップ」について発表している。。
イスタンブルで開催された第28回日本トルコ合同経済委員会

関連記事