10月イスタンブルにて、日本とトルコの経済団体である経団連とDEIKが主催する第28回日本トルコ合同経済委員会が開催された。 MOLからは、社長の橋本が参加し、「第三国市場におけるトルコとの共同事業」というテーマで、MOLとトルコのKaradenizとのJVで行っているアフリカでの発電船事業を紹介した。 同JVでは、現在、セネガルとモザンビークで発電船事業を行っている。
Karadenizは、約40隻の発電船を保有する世界で唯一の民間発電船事業会社である。 MOLは、発電船の共同保有と、ガスを燃料とするプロジェクトでの燃料供給ラインとなるFSRU (Floating Storage and Regasification Unit) の操業をJVで担当している。
Karadenizの強みの一つは、すぐに稼働できる発電船が複数隻、常に待機していることにある。 世界で、電気が不足する国は多いが、陸上で新たな発電所を建設するには、巨額の資本と合わせて、長期の調査、準備、建設の期間を要する。しかし、待機中の発電船を活用すれば、最短3ケ月で電気の供給が可能である。顧客は、電気料金を払うスキームなので、巨額の初期投資は必要ない。すぐに電気が必要な地域には、もってこいの解決策である。
また、MOLとKaradenizが共同でMarketingを行っているFDC(Floating Data Center)事業も紹介した。世界各国で、Data Centerの需要が増加する中、陸上のデータセンターと比較して、立地の確保、冷却水の確保、初期投資額の低減などで、FDCはメリットがある。また、陸上からの電源の確保が難しい場合には、発電船とセットでFDCを稼働させることができる。
FDC事業におけるMOLの強みは、FDCに改造する老齢船の調達が容易であること。 大型FDCに最も適しているのは、船内に複層の甲板を持つ、自動車専用船。データサーバーを設置する広く、耐久性のある床面積が改造前から存在している。自動車専用船を運航する船会社は多くなく、MOLは世界有数の自動車船船隊数を誇り、定期的に引退する自動車船が出てくる。老齢船をスクラップにするより、FDCに改造して、第2の人生を歩むのは、経済的であり、かつ地球環境にも優しい。 FDCの技術的問題は、ほぼ解決している。あとは、顧客の確保と設置する港などの許認可を得るハードルを越えれば、実現は近い。