予期せぬことに、2023年2月、私はバイオ燃料の野望において転機となる旅に参加しようとしていました。ほとんど直感に導かれるように、私たちはガーナへの旅に出発し、持続可能なエネルギー作物への冒険を始めたのです。
この冒険へと招待してくれたのは、日本の企業である日本植物燃料株式会社(NBF)でした。同社は、非食用植物ジェトロファを主に利用し、地域での再生可能エネルギーの生産と消費を結びつける独自のモデルを開発しています。NBFは2000年1月21日に設立されました。
同社は2012年3月にモザンビークに現地法人「Agro-business for Development of Mozambique Lda.(ADM)」を設立し、アフリカ事業を管理しています。モザンビークでは2010年頃からジェトロファ契約栽培システムを開始しました。
なぜガーナなのか?
私たちの目的地は首都アクラから400km離れた辺境の地でした。そこではある企業が2015年以来、ジェトロファに関する画期的な研究開発を行ってきました。多くのバイオ燃料事業が失敗に終わる中、その企業は遺伝的改良を重ね、1,267ヘクタール以上の「周縁地」(食用作物には不適だが、耐性のあるエネルギー植物には理想的な土地)を耕作してきました。
訪問のハイライトは、極めて希少で高い耐性を持つジェトロファ種子の発見でした。彼らの研究開発は、シンガポール、インド、中国から集めた300種以上を対象に行われ、4つの成功品種を生み出しました。最新品種は種子重量が0.9グラム(従来の0.3グラムから増加)、油分含有率は39%に達しています。これは1ヘクタールあたりのバイオ燃料生産量を増やすだけでなく、飼料や肥料用のバイオマスも増加させます。そして現在、この技術を保有する唯一の企業は、この地でジェトロファを栽培しているNBFです。
このモデルには、18のコミュニティにまたがる50人の契約農家が含まれ、約300ヘクタールを栽培しています。ジェトロファは労働時間が少なく(1日1.5時間)、農家は食用作物を並行して栽培でき、安定した収入と農村の生活を支えています。種子は1kgあたり0.17ドルで販売され、1ヘクタールあたり年間最大3.5トンを収穫できます。
2025年へ
比較的静かな2年間を経て、NBFはジェトロファ種子からのバイオ燃料生産に注力し、船舶へのバンカリングサービス供給を主な目標としています。同社はモザンビークのナンプラ州リバウエ地区での生産開始と、ナカラ港での搾油施設設立を検討しています。
この取り組みを実現するため、NBFは海洋燃料の浮体式貯蔵設備(FSU)を運営するCivitas(KARMOL(商船三井(MOL)とKarpowershipの協業プロジェクトで、モザンビークにおいてLNGを使用した発電船事業を行っています)の代理店)と協力しています。Civitasは地域で初めてバイオ燃料バンカリングサービスを提供することに関心を持っています。
初期試験は2026年に予定されており、現地生産が本格化する前にガーナから輸入したジェトロファ油を使用します。両社は、NBFの生産能力が確立された段階で協力を確実なものにするため、MoUの締結を検討しています。
モザンビーク、そしてその先へ
海洋用途におけるバイオ燃料の最適混合比率について議論が続いており、初期試験では年間500〜1,000トンの使用が見込まれています。 NBFは依然として資本増強を目指しており、投資やパートナーシップを模索しています。MOLとの協議や、日本政府から最大2,500万ドルの支援を受ける可能性もあり、2027年頃から本格的な生産開始を見込んでいます。
私たちの訪問は学びだけではなく、橋を架けることでもありました。MOLはNBFの歩みを創業時から見守ってきました。この旅は今も続いており、MOLの事業開発チームの一員であることのかけがえのない価値を示しています。