アフリカの物流における最も注目すべき発展のひとつが、同大陸最大のコンテナターミナルであるモロッコのタンジェ・メッド港です。同港は取扱貨物量の著しい増加を遂げ、2024年には世界ランキングで第17位に入り、初めてトップ20にランクインしました。さらに、高度な自動化を備えた世界有数の効率的な港湾としても知られており、世界銀行が発表した「コンテナ港湾パフォーマンス指数(2023年)」では堂々の第4位に選ばれています。
2007年の開港からわずかの歴史しか持たないにもかかわらず、この巨大ターミナルは急速な成長を遂げました。ジブラルタル海峡という地中海への要衝に戦略的に位置し、モロッコの安定した政治環境に支えられて、投資主導型開発の成功例として高く評価されています。

トランジット港として、タンジェ・メッド港はモロッコだけでなくアフリカ全体の貨物のハブとして重要な役割を果たしています。港周辺には自由貿易区が整備され、自動車生産(南アフリカに次ぐアフリカ第2位)をはじめ、航空機部品、農産物、繊維、医薬品など幅広い製造業を支える工業団地が存在します。タンジェ・メッド港は、これらの産業を強固な物流インフラによって支えています。
世界第6位のコンテナ船会社であり、MOLが31%を出資するオーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)は、2024年にモロッコで現地資本との合弁会社を設立しました。新会社はカサブランカとタンジェの両都市にオフィスを構え、成長著しいアフリカの海運・物流市場でのプレゼンス拡大を目指しています。
ONE、モロッコに新事務所を開設 | ONE

資源が豊富で人口増加が続くアフリカにおいて、効率的かつ安定した物流ネットワークは輸出入の両面で不可欠です。しかし、一部地域では依然として十分なインフラが整っておらず、大陸全体の経済的潜在力を制約しています。今後、海運、航空、陸上の各物流ネットワークがさらに発展することで、アフリカ経済と人々の生活はますます豊かになると期待されています。
